「ミステリと言う勿れ」(著者:田村 由美)少女コミックを読んだネタバレ感想・口コミ評判
まず、この作品の特徴をかんたんにご紹介します。
💡伝えたいポイント💡
- 主人公は大学生の青年 久能整(ととのう)の謎めいた雰囲気が魅力的です。
- 整は、運悪く(?)事件に巻き込まれて、その流れから事件の謎を解いていきます。
- 自分が容疑者になっても、慌てることなく飄々とした話しぶりや落ち着いた態度は周囲とチグハグですが、そのアンバランスが楽しい作品になっています。
編集部レポート
さらさ
ジャンル:コミック – 少女コミック
掲載誌・レーベル:小学舘 月刊Flowers
シリーズ情報: 7巻(2020年時点)
アニメ化:なし
ドラマ化:なし
映画化:なし
評価・あらすじ
『BASARA』『7SEEDS』などの名作で有名な田村由美先生の新シリーズです。
【主な登場人物・キャラクターについて】
さらさ
久能 整(くのう ととのう)
独り暮らしの大学生。特徴的な天然パーマで謎めいた雰囲気を持っている青年。
自分の身に危険が迫っていてもどこか飄々としていて、妙に落ち着いている。
独自の理論を語り、鋭い洞察力と人間観察力で事件を解決していく。
藪 (やぶ)
大隣警察署の刑事。妻子をひき逃げで失った。仕事優先で子どもの学校や家族を顧みることがなかった仕事人間。
ひき逃げの犯人は見つかっていないが犯人を捕まえることを諦めていない。
青砥(あおと)
大隣警察署の刑事。皮肉な物言いをする。過去に冤罪事件を起こしてマスコミに報道されたことがある。
池本(いけもと)
大隣警察署の若手刑事。もうすぐ父親になる。おしゃべりで軽く人のことを信じやすい。
整の話を聞いているうちに彼を信用し、相談事までするようになる。軽率なところもあるが憎めない性格。
風呂光(ふろみつ)
大隣警察署の女性巡査。捜査一課で唯一の女性で、組織での自分の存在意義は何か悩みながら働いている。
真面目で仕事熱心な性格。
【感想】
「ミステリと言う勿れ」は、田村由美先生の作品で独り暮らしの大学生の青年が事件に巻き込まれてしまい登場人物と会話していくうちにその難解な事件を彼の独特な洞察力で解決していくというストーリーです。
久能 整(ととのう)は、独り暮らしの大学生で特徴的な天然パーマをしています。冬のある日、自宅のアパートでカレーを煮込んでいたところに訪問客があります。訪問客は警察官で、整の高校・大学の同級生である寒河江 健(さがえ けん)が近くの公園で昨夜 殺害されたとのことで、整は警察に連れていかれます。
警察署でアリバイを聞かれますが、昨夜からひとりでカレーを作っていたのでアリバイがないため取り調べを受けます。
被害者の寒河江は父親が社長でこづかいをたくさんもらっている金持ちのボンボンでチャラくて派手でモテモテで整があまり近づきたくないタイプ。警察は寒河江に好意を持っていない整を疑っています。しかも、その公園で寒河江と整が言い争っているのを目撃者した人がいると言われます。
整は、それを知って慌てたり怯える様子もなく、刑事に「目撃者をよく知っているのですか?」と聞きます。
刑事は「(目撃者は)善意の第三者だ」と答えます。すると整は、「じゃあ僕と同じ立場ですよね。みなさんがよく知らない人物。
それなのにどうして、その人が本当のことを言っていて、僕のほうがウソついてると思うんですか?」と聞きます。
批判的な物言いをする刑事 青砥(あおと)は、「殺人の疑いをかけられているのに落ち着いているな」と言い出します。
すると整は「何もしていない僕を冤罪に落とし込むほど警察はバカじゃないと思ってますから。それともバカなんですか?」
と言い返します。コワモテの刑事相手に怯むことなく冷静に言い返す整はただ者ではありませんね。
取り調べの二日目には担当の刑事が変わります。ベテランの乙部、軽率な物言いをする若手刑事の池本、唯一の女性巡査 風呂光
(ふろみつ)。整は、乙部刑事に「娘さんを可愛がって育てたのにお父さん 臭いとか汚いとか言い出したんですか?」と話しかけます。
昨日 警察から帰る時に廊下を歩いていて乙部刑事の愚痴が聞こえていたのです。そして乙部刑事にそれは娘のせいではなく生き物の反応だと語ります。子どもが大人になって父親と知らずに出会い生まれる子供は遺伝子的に弱いため警戒警報を出している作用であり部さんの育て方は間違ってないと語ります。他にも女だからナメられている 職場の上司に一人前扱いされていないと悩んでいる風呂光、身重の妻とケンカしたことを言い当てられた池本にも持論を語ります。
3人は整が犯人ではないのではないかと思い始めます。
捜査が進むと凶器が出てきて、それは整の包丁だと分かり、ますます整に不利な状況になっていきますが、
飄々としていて怯えたり焦ったりする様子がなく、刑事がイライラしているところが笑えます。
そして取り調べが続く中、刑事からの詰問や何気ない会話から感じた違和感を風呂光に調べてくれるように依頼をします。
その結果のひとつひとつを頭の中で整理していくことで真実が見えてきます。
結果はとても悲しいものでした。妻子をひき逃げされた藪がひき逃げの犯人を寒河江だと思って 計画的に殺害して整に罪を被せるようと細工をしたのです。しかし、整は犯人は別にいると推理します。そして風呂光によって真犯人は自主します。
藪は、妻子を殺された復讐をしたつもりが、別人を殺害していたのです。しかも他人に罪を被せるとか、
人として刑事としてあり得ないのですが、整は、勾留されたことや罪を被せられたことに怒るでもなく淡々と事件を解決します。
暗くなりがちなテーマですが、整は飄々としていて動じることがありません。取り調べ中に「美容院の予約してるんで行っていいですか?」とか煮込んでいるカレーの心配をしたり自分のペースを崩さない様子に笑ってしまいます。
整の持つ人並外れた記憶力、洞察力、聴力で解決していく事件に目が離せません。
これから読む人へ
さらさ
際立っているところにあると思います。事件ごとに登場人物は変わっていきますが、ひとりひとりの登場人物の性格や個性も細かく描かれていて魅力的です。そして事件解決の糸口が登場人物のちょっとした言動とつながっていて伏線を回収していきながら思わぬ結末を迎える 先が読めないストーリーだと思います。さすが田村先生ですね。
殺人事件や死体が苦手な方にはおススメしませんが、ぜひ読んでいただきたい作品です。
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電子書籍の良さを教えてください
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