「きみは面倒な婚約者」著者:椎野翠 / 兎山もなか 少女コミックを読んだネタバレ感想・口コミ評判

2020/06/19(更新日)

まず、この作品の特徴をかんたんにご紹介します。


💡伝えたいポイント💡

  • ヒロインは社長令嬢で、父の会社で働いていますが、社長の娘であることを鼻にかけず真面目に働いています。
  • 会社の先輩である はじめと婚約して3年になりますが、進展がないことを気にしています。
  • はじめが新入社員女子のトレーナーになり、ふたりの親密な様子を見て、義務で優しくしてくれるはじめから身を引こうと考えます。

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編集部レポート

さらさ

まず、この【きみは面倒な婚約者】の特徴をかんたんにご紹介します。
きみは面倒な婚約者
著者: 椎野翠 / 兎山もなか
ジャンル:コミック – 少女コミック
掲載誌・レーベル: Love Jossie
シリーズ情報: 9巻(2020年時点)
アニメ化:なし
ドラマ化:なし
映画化:なし
総合評価
(4.5)


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評価・あらすじ

ヒロイン紫乃は社長令嬢で、父の会社で働いていますが、先輩社員のはじめと婚約して3年になります。
はじめは紫乃にやさしく接しますが、距離が縮まらない義務で優しくしてくれているだけだと思っています。
そんななか、はじめが新入社員の女の子花澤のトレーナーをすることになり、ふたりが自分よりお似合いのように感じて不安になります。

なぜなら、ふたりは紫乃が大好きな電子コミックに出てくるヒーローヒロインにそっくりだったからです。
そして自分はライバルキャラとして出てくる社長令嬢ではないか、ふたりは両想いなのに自分が邪魔しているのではと考えるようになります。

【主な登場人物・キャラクターについて】

さらさ

では、主要人物のご紹介します。

加治屋紫乃

ヒロイン。
父の会社である加治屋フーズで働く社長令嬢で先輩社員の橘はじめと婚約している。
はじめのことがずっと好きだったが、彼からプロポーズされて婚約したわけではなく、父が決めた政略結婚であること、いつもはじめが優しく大切にしてくれているが何となく距離を感じて気にしている。
新入社員の花澤とはじめがお似合いに見えて身を引こうかと悩んでいる。

橘はじめ

加治屋フーズで働く営業マン。実は社長令息だが、紫乃にも内緒にしている。
仕事ができて気遣いもできる非の打ち所のないハイスペックなイケメン。
紫乃とは婚約して3年になるが、いつも礼儀正しく紳士的で紫乃をスマートにエスコートするが、
紫乃が不安に思っていることには気づいていない。

花澤優衣

加治屋フーズの新入社員。
営業部に配属になり、はじめがトレーナーになる。
素直で親しみやすい性格のため、入社してすぐにはじめと仲良くなる。はじめに一目ぼれして 婚約者がいると
聞いても諦める気はない。地味なヒロインがヒーローと結ばれるマンガのような恋に憧れている。

【感想】

社長令嬢である加治屋紫乃が婚約者の橘はじめと初めて一夜を過ごしたときに言われたセリフは「絶対に抱かないつもりだったのにな」。
それに対して紫乃は「ですよね」と思ってしまいます。なぜなら、この婚約は政略結婚で社長令嬢である自分とのデートもキスも、はじめにとっては義務でしかないからです。
彼の笑顔も優しさも彼の努力と我慢の賜物で義理で成り立つ婚約者の実家も彼にとっては煩わしいものでしかないと思っています。

紫乃とはじめが婚約したのは3年前。それ以来、ふたりの関係はいたって健全で触れるだけのキスから先に進む気配は全くと言ってありませんでした。

ふたりの関係に変化が見られたのは、新入社員の花澤優衣が入社してはじめがトレーナーになったころからです。
それまでは、社内でも公認の婚約者で、紫乃は仕事ではじめに会えるのもとても楽しみにしていました。

ある日、仕事ではじめのいる営業部に顔を出したとき、はじめがかわいい女の子と楽しそうに話しているのを見かけます。
声をかけるとはじめは女の子を紫乃に紹介します。

トレーナーをすることになった女の子 花澤は、健気で可愛らしい まるで紫乃が大好きなマンガのヒロインのようです。

紫乃は電子コミックで恋愛マンガを読むのが大好きで毎晩マンガが更新されるのを楽しみにしています。
今 ハマっているのはヒーローがはじめに似ていてカッコいい会社員と地味で目立たないけど健気で可愛らしいヒロインが恋するストーリーで、花澤はこのヒロインに似ています。

はじめと並ぶとマンガと重なり、ふたりがずっと一緒に仕事をすると聞いてショックを受けてしまいます。
しかも、このマンガにはライバルとしてヒーローの婚約者が出てきます。
「わたしのポジションははこっちか」とますます落ち込む紫乃は、自分はふたりの恋のスパイスである当て馬だと思うようになります。

花澤は、はじめに一目ぼれします。すぐに社長令嬢の紫乃と婚約していると聞いてちょっとショックを受けますが、こんなにハイスペックなはじめならば、婚約者くらいいて当然と受け止めます。しかも婚約と言っても政略結婚で、紫乃からはあまり余裕が感じられないため、「これなら勝てそう。形だけの婚約なんてちっとも脅威じゃない。」と考えます。見た目と違ってかなり大胆で自信満々の花澤は憎めないキャラクターですが、紫乃は気が気じゃありません。
 
その後も、はじめと花澤が二人で出張に行き、紫乃へのお土産を花澤が選んだと聞かされたり、自分には「紫乃さん」とさん付けで呼んで敬語で話すのに、花澤には「花澤」と呼び捨てにしてタメ口でじゃれ合う二人を見て、紫乃は社内にも関わらず泣きそうになります。
紫乃の様子がおかしいことに気づいたはじめは追いかけて話をします。そこで紫乃は「女の子のトレーナーになることも出張のことも先に行ってほしかった。」と不安な気持ちを話すうちに「橘さん 私のこと抱かないじゃないですか」と言ってしまいます。

するとはじめは「抱きます」と言って ふたりは結ばれます。
しかし、その直後にはじめが言ったセリフは「絶対に抱かないつもりだったのにな」でした。

事情があったにせよ、これは あんまりですね。紫乃が自分はヒーローとヒロインの恋の邪魔をする悪役令嬢だと思っても
仕方ないような気がします。結ばれた後も、はじめの言動は 紫乃をますます不安にしていきます。

はじめが一人暮らしをするマンションの隣の部屋には花澤が住んでいることを内緒にしていたり、紫乃とベッドを共にした直後に
花澤とベランダ越しに話していたり。目を覚ました紫乃はベランダではじめと花澤が話していることに気づきます。「いつもこうして話しているのかな」と気にしているとふたりの会話が聞こえます。

「タバコ吸うんですか?」
「紫乃さんには内緒にしてね」
「大事な婚約者ですもんね」
「面倒な婚約者だよ」

紫乃にははじめがどんな顔でこのセリフを言ったかはわかりません。
はじめのことが大好きなことが分かるだけに紫乃の切ない気持ちが痛いほど伝わってきました。
  
この作品は、紫乃の視点・花澤の視点・はじめの視点と3人それぞれの立場からあらすじが繰り返されています。

だいたい1・2巻が紫乃、3・4巻が花澤、5・6巻がはじめ ですね。同じ話でも立場が違うので面白いですが、先が早く気になります。

久しぶりにヒロインに感情移入してドキドキ・キューンとしながら読み進めました。
現時点では最終話まで出ていないので気になって仕方ありません(笑)。

これから読む人へ

さらさ

この作品の原作者である兎山もなか先生の作品はたくさんコミカライズされています。

たとえば、「才川夫妻の恋愛事情」「溺愛離婚」「清く正しくいやらしく」などがあります。

衝撃的なタイトルのものもありますが、読むとヒロインの気持ちの描写が細かく描かれていて面白いものが多いのでおススメです。

私の一番のおススメは、やはり「きみは面倒な婚約者」ですね。


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子育て中のパンダ大好き主婦です。ハーレクインコミックと出会ってから10年くらいになります。 日常にはないゴージャスなシュチエーションやヒストリカルが好きですっかりハマっています。 忙しい毎日を送る中で、ハーレクインを読んでストレス解消しています。 可愛いか弱いヒロインよりも、不器用ながらも努力して自分の道を切り拓いて生きていくたくましいヒロインのストーリーが好きです。 好きな作品は、「気高き約束」「セラフィーナ」「罪深きワルツ」などです。